ラム酒の原料サトウキビとは?ラムの製法とあわせて解説 by TRUCK Japanese Rum

ラム酒の原料サトウキビとは?ラムの製法とあわせて解説 by TRUCK Japanese Rum

ラム酒はサトウキビを原料につくられる蒸留酒で、独特の甘い風味は世界中の愛好家を魅了しています。

そんなラム酒が、はたしてどのようにサトウキビからつくられるのか疑問に思ったことはないでしょうか。


本記事ではラム酒の主原料であるサトウキビを詳しく解説し、さらにサトウキビからラム酒が出来上がるまでの製造工程を紹介します。

サトウキビの起源や栽培地域、日本の生産状況も紹介しますので、ラム酒の世界をより深く知りたい方はぜひご一読ください。

ラム酒の新しい魅力を知るきっかけになること間違いなしです。

 

 

ラム酒の原料はサトウキビ・酵母・水

ラム酒の主原料は「サトウキビ」で、このサトウキビの絞り汁や糖蜜がラム酒独特の風味と甘みのもとになっています。

主原料のサトウキビの他、製造過程において発酵を促す「酵母」と、酒づくりに欠かせない「水」もラム酒の重要な原料といえます。

酵母はサトウキビの糖分をアルコールに変える役割を果たし、水は発酵や蒸留過程で不可欠です。

サトウキビ・酵母・水の3つの原料の組み合わせで、ラム酒の味わいや風味、個性が決定します。

ラム酒は原料はシンプルであるものの、製造過程の違いや熟成の有無によってさまざまな種類が存在します。

蒸留後にステンレスタンクで休ませる「ホワイトラム」や、樽で熟成させた琥珀色の「ダークラム」など、種類や特徴は多様です。

ラム酒の種類や特徴をさらに詳しく知りたい方は「ラム酒とは何か?原料や種類、蒸留酒の製法やカクテルを解説 」をご覧ください。

 

ラム酒の主原料・サトウキビとは

ラム酒づくりの要であるサトウキビはイネ科の多年生植物で、収穫までにおよそ1年から1年半の期間を要します。

成長したサトウキビは3〜6メートルほどの高さに達し、堅い皮で覆われた茎は繊維状の構造になっています。

この茎部分がラム酒や砂糖の原料として使用され、中には糖分がぎっしりと詰まっているのです。

そんなサトウキビについて、次の項目に沿って解説していきましょう。

  • サトウキビの発祥
  • サトウキビの栽培地域
  • 日本におけるサトウキビ栽培

 

サトウキビの発祥

サトウキビの発祥は紀元前までさかのぼり、その原生種は紀元前1万5,000年頃に出現したといわれています。

原生種は紀元前1万年頃にニューギニア周辺に伝わり、そこから東方のソロモン諸島やニューヘブリディーズ諸島、西方のフィリピン諸島やインドネシア、マレー半島へ伝わりました。

ラム酒が発祥したカリブ海域にサトウキビが伝わったのは、1492年のことです。

新大陸を発見したクリストファー・コロンブスによってカリブ海のイスパニョーラ島に持ち込まれ、そこからサトウキビ栽培がカリブ地域や南北アメリカ大陸に広がります。

16世紀初頭にはイスパニョーラ島に砂糖をつくる工場が建設され、現地を植民地としていたヨーロッパ諸国は砂糖によって莫大な利益を得ました。

その後、サトウキビは世界中に伝わる中で品種改良を繰り返し、糖度が高い品種や病気に強い丈夫な品種が次々と生み出されていきました。

 

サトウキビの栽培地域

サトウキビは、世界の約80カ国もの地域で栽培されています。

広範囲で栽培されていることから、サトウキビの適応力の高さと生産される砂糖の需要の大きさがうかがえます。

サトウキビ生産においてトップの生産量を誇るのはブラジルで、ブラジルに次ぐ主要生産国はインド、中国、タイ、パキスタン、メキシコなどです。

カリブ海地域の国々でも、面積は小さいものの高品質のサトウキビを生産しており、ラム酒の原料としても重要な役割を果たしています。

 

日本におけるサトウキビ栽培

日本におけるサトウキビ栽培は今から約400年前、奄美大島の大和で始まったといわれています。

1609年、大和の住人だった直川智(スナオカワチ)という人物が、中国福建省で製糖技術を習得し、サトウキビを秘かに持ち帰って初めて黒糖を作ったといわれています。

奄美大島の大和浜でサトウキビの栽培に成功した直川智は、その後製糖業を始めました。

現在、日本におけるサトウキビの2大生産地は沖縄県と鹿児島県の奄美群島です。

温暖な気候と豊かな日照量がサトウキビ栽培に適していて、沖縄ではサトウキビのことを「ウージ」、奄美群島では「ウギ」とも呼ばれます。

その他にも、和三盆の原料として香川県や徳島県で栽培されており、千葉県でもラム酒づくりのためのサトウキビ栽培が行われています。

 

ラム酒の製法とは?原料がお酒に変わるまで

ラム酒の製法は「原料であるサトウキビの加工」「発酵」「蒸留」「熟成」「瓶詰め」の5つの工程に分けられます。

サトウキビからラム酒をつくる、それぞれの工程を解説します。

原料の加工

ラム酒製造の第一歩は、原料であるサトウキビの加工から始まります。

サトウキビはナタによる手刈り、もしくはトラクターによる機械刈りで収穫され、工場に運ばれます。

サトウキビに含まれる糖分は収穫から時間が経つほど減少していくので、収穫後は新鮮なうちに処理しなければなりません。

収穫されたサトウキビは洗浄・裁断の後に圧搾され、ジュースが搾り出されます。

このサトウキビジュースの処理方法によってラム酒の種類が決まり、「トラディショナルラム」「アグリコールラム」「ハイテストモラセスラム」の3つのいずれかのラム酒になります。

 

トラディショナルラム

サトウキビジュースを加熱して濃縮させた後、遠心分離器にかけて「砂糖となる結晶部分」と「糖蜜」に分離させます。この糖蜜部分でラム酒を製造すると、トラディショナルラムになります。

 

アグリコールラム

サトウキビジュースを分離させずにそのまま使用すると、アグリコールラムになります。100%のサトウキビでつくられるアグリコールラムは、風味豊かで個性的な味わいが特徴です。

 

ハイテストモラセス

サトウキビジュースを一度加熱して濃縮させ、シロップ状にしたものを原料にするとハイテストモラセスラムになります。

 

製法の違いによるラム酒の種類を詳しく知りたい方は、「ラム酒の種類 |バリエーション豊かなカリブ生まれの蒸留酒」の記事も参考にしてみてください。

発酵

サトウキビを処理した後に行う工程が、酵母を投入して行う発酵です。

発酵はラム酒製造における重要な工程のひとつで、投入された酵母は糖分を糧に増殖し、同時にアルコールと炭酸ガスを生成します。

酵母によりラム酒特有の香味成分も形成され、酵母の種類や発酵させる環境がラム酒の個性に大きく影響します。

なお、酵母を人手で添加しない自然発酵が行われるケースもあり、その場合は発酵場に住む自然酵母などが発酵を促し、原酒により複雑な風味をもたらします。

発酵が終わった液体は「もろみ」と呼ばれ、アルコール度数は4〜10%程度です。

一般的な発酵時間は24〜36時間程度で蒸留所によって異なり、中には数週間から数カ月かけて発酵させる銘柄も存在します。

 

蒸留

発酵してできた「もろみ」は蒸留され、アルコール度数の強いお酒に変化します。

蒸留とは液体の沸点の違いをした分離方法で、加熱によりアルコール分を蒸発させて抽出する方法です。

使用する蒸留器は「単式蒸留器」か「連続式蒸留機」のどちらかで、蒸留所によっては両方の蒸留器を使用するケースもあります。

 

単式蒸留器

単式蒸留器は銅製の窯のような形をした蒸留器で、ポットスチルとも呼ばれます。

もろみを入れて窯を加熱し、蒸気をコンデンサーで冷却する仕組みです。

1度の蒸留で得られる蒸留液はアルコール度数が低いため、単式の場合は2回以上の蒸留を行うケースもあります。

連続式に比べると手間と時間がかかるものの、銅の働きによる風味豊かな原酒がつくれるのが特徴です。

 

連続式蒸留機

連続式蒸留機はステンレス製で柱状の形をした装置で、単式とは異なりもろみを連続的に投入できます。

短時間で大量のもろみを蒸留できるためアルコール度数をスムーズに高められるのが特徴です。

連続式は効率的な量産向きの蒸留方法で、比較的軽やかでクセのない味わいの原酒をつくるのに適した蒸留方法です。

 

熟成

熟成はラム酒に深みと複雑な風味を付与する工程ですが、種類によっては熟成を行わない場合もあります。

熟成の有無によって、原酒は「ホワイトラム」「ゴールドラム」「ダークラム」のいずれかのラム酒に変化します。

 

ホワイトラム

蒸留後は樽で熟成させず、代わりにステンレスタンクで3〜12カ月寝かせたラム酒がホワイトラムです。

タンクで休ませることで風味やアルコールの刺激が落ち着き、軽やかでクリアな味わいが楽しめるのがホワイトラムの特徴です。

 

 

ゴールドラム

蒸留後、木樽に2カ月〜3年未満の間熟成させたラムをゴールドラムと呼びます。

熟成にはオーク樽やバーボン熟成に使用された樽を使い、樽熟成を行うことで木材由来の香味成分が原酒に付与されます。

色合いは琥珀色に変化し、豊かな風味と複雑な味わいが楽しめます。

 

ダークラム

ダークラムは木樽に3年以上熟成をさせたラム酒で、ゴールドラムよりも深い琥珀色をしています。

長期熟成による濃厚な味わいが楽しめ、生産地域や蒸留所の個性を色濃く楽しめるラム酒といえるでしょう。

瓶詰め

瓶詰め(ボトリング)はラム酒製造の最終段階で、完成したラム酒を消費者の手元に届けるための工程です。

熟成を終えたラム酒は不純物を取り除くために濾過され、瓶詰めの工程に入ります。

大規模なラムメーカーは機械によって行いますが、一部のクラフト蒸留所では瓶詰めを手作業で行う場合もあります。

瓶詰めの後はコルクやキャップの装着、ラベルの貼付などの作業と検品が完了したらラム酒の完成です。

 

 

他のお酒の主原料|ラム酒との違いを紹介

ラム酒の主原料を、他のお酒の原料と比較してみましょう。

主な蒸留酒の主原料を下表にまとめました。

 

種類

主原料

ラム

サトウキビ

ジン

大麦や小麦等の穀類、ジュニパーベリー

ウォッカ

ジャガイモ、穀類

テキーラ

リュウゼツラン

ウイスキー

大麦やトウモロコシ、小麦等の穀類

ブランデー

ブドウ

 

蒸留酒の味わいと特徴は、使われる原料に大きく影響されます。

ラム酒はサトウキビを原料とした独特の甘い風味が特徴で、ジンはジュニパーベリーの香りが際立っています。

ウォッカはクリアでスムースな味わいで、テキーラは多肉植物のリュウゼツラン由来の独特な風味が楽しめるでしょう。

ウイスキーは穀物由来の風味と樽熟成による多様な風味を持ち、ブランデーはブドウ由来のフルーティーな風味が味わえます。

 

最後に

ラム酒の原料であるサトウキビと、ラム酒がつくられるまでの製造工程を紹介しました。

サトウキビの収穫から加工、発酵、蒸留、熟成、瓶詰めにいたるすべての工程が、ラム酒独特の風味と個性を生み出す重要な役割を果たしています。

製法や熟成期間によってさまざまな種類が生み出されていて、この多様性がラム酒の魅力の一つといえるでしょう。

 

今度ラム酒を楽しむ際には、味わいの奥にあるサトウキビの甘みを感じとってみてください。

一杯のラム酒に込められた文化や歴史に思いを馳せつつ、サトウキビがもたらす独特の風味をじっくりと堪能してみてはいかがでしょうか。

 

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