ラム酒の種類 |バリエーション豊かなカリブ生まれの蒸留酒 by TRUCK Japanese Rum

ラム酒の種類 |バリエーション豊かなカリブ生まれの蒸留酒 by TRUCK Japanese Rum

ラム酒は多様な種類があり、製造方法や熟成の有無、生産地域によって特徴や味わいが大きく異なります。

多彩な味わいを持つラム酒は、ストレートやロックで飲めるほか、カクテルや食中酒としても楽しめる蒸留酒です。

お菓子作りや漬けラム作りにも重宝され、ラム酒は万能で自由度の高いお酒といえるでしょう。

この記事では、ラム酒の製法や生産地域、風味の違いなどに焦点を当て、さまざまな種類のラム酒を紹介します。

フレッシュでフルーティーな香りから奥深いコクのある風味まで、種類によって異なる魅力を持つラム酒の世界を存分に楽しんでみてください。

 

 

ラム酒の種類について

ラム酒は製法や生産地、熟成の有無といったさまざまな基準で分類でき、バリエーションが豊富です。

ラム酒のルールは「サトウキビを原料にして蒸留する」ことで、その他の規定はないため各地域で独自の方法で製造されています。

製法が自由であるために多種多様なラム酒が生み出されており、そんなラム酒は次の4つの基準で分類できます。

  • 製法の違い
  • 宗主国の違い
  • 熟成・加工の違い
  • 風味の違い

これらの組み合わせによる豊富な種類の中から、好みや用途に合わせて最適な銘柄を選べるのもラム酒の魅力のひとつ。

そんなラム酒の種類を、次章から詳しく解説していきます。

ラム酒についてさらに詳しく知りたい方は「ラム酒とは何か?原料から製法、種類、カクテルまでを解説」も参考にしてみてください。

 

ラム酒の種類【製法の違い】

ラム酒は、原料であるサトウキビを処理する「製法の違い」で、次の3つに分類できます。

 

  • トラディショナルラム
  • アグリコールラム
  • ハイテストモラセスラム

 

これら3種類のラム酒について、それぞれ詳しく解説していきましょう。

 

トラディショナルラム

トラディショナルラム(Traditional Rum)は、サトウキビの「糖蜜(モラセス)」のみを使用してつくられる伝統的な製法のラム酒です。

「糖蜜」とはサトウキビを煮詰めて結晶化した部分を取り除いたもので、この結晶化した部分は砂糖になります。

つまり、サトウキビから砂糖を製造する際に廃棄される部分が糖蜜であり、トラディッショナルラムは砂糖の副産物といえるでしょう。

糖蜜は冷蔵保存すれば風味を保てるため、トラディッショナルラムはサトウキビが採れない地域でも生産可能です。

大規模な工場で大量生産もできるため、別名インダストリアル(Industrial/工業・産業)ラムとも呼ばれ、世界中で生産されるラム酒の8〜9割はこのトラディッショナルラムといわれています。

 

アグリコールラム

アグリコールラム(Agricole Rum)とは「農業的製法で製造されるラム酒」で、工業的製法のトラディッショナルラム(インダストリアルラム)とは対極にあります。

アグリコールラムはサトウキビを100%使用してつくられるラム酒で、サトウキビから砂糖になる結晶部分も取り除かず、すべてをそのまま発酵・蒸留します。

本来砂糖となる成分も含めたすべてを原料にするため、アグリコールラムはサトウキビの味わいがそのまま活かされた味わいです。

アグリコールラムの味わいは繊細かつ複雑で、トラディッショナルラムと比較すると原料や生産する土地の個性が出やすいラム酒といえるでしょう。

100%のサトウキビジュースは保存がしにくいため、アグリコールラムはサトウキビの産地において収穫期にしか製造できません。

製造地域と期間が限られているのが、アグリコールラムの特徴のひとつです。

ハイテストモラセスラム

ハイテストモラセスラム(High Test Molasses Rum)はサトウキビをそのまま絞ってジュースにし、加熱して濃縮させたシロップ(ハイテストモラセス)を原料としたラム酒です。

加熱して固形化した「黒糖」からつくられるラム酒もこれに分類され、比較的新しい製法なのがハイテストモラセスラムです。

サトウキビジュースを濃縮して使用するので原料本来の風味が出やすく、トラディッショナルラムとアグリコールラムの中間的な味わいといえるでしょう。

濃縮させたシロップは風味を損なわずに保存できるため、サトウキビを生産していない土地でも製造可能であり、年間を通してつくられます。

 

ラム酒の種類【宗主国の違い】

ラム酒は、生産している地域が「どの国を宗主国としていたか」によって特徴が異なります。

宗主国とは特定の国に対して支配権を持つ国のことで、ラム酒の主な製造地域は植民地時代に「イギリス」「フランス」「スペイン」のいずれかの国を宗主国としていました。

このヨーロッパの3国は、自国の伝統的な蒸留酒の製法をラム酒づくりに反映させ、植民地で独自のラム酒をつくり上げたのです。

宗主国別に、「イギリス系ラム」「フランス系ラム」「スペイン系ラム」の3種類のラム酒の特徴を解説していきます。

なお、ラム酒は宗主国を持たない地域でも生産されており、日本を含む世界中でつくられています。

中には、次章から説明する宗主国とは関係ない製法でつくられているラム酒もあります。

 

イギリス系ラム

イギリス系ラムはジャマイカやガイアナなどでつくられるラム酒で、多くの場合「Rum」と表記されます。

種類

イギリス系ラム

表記

Rum

生産地域

ジャマイカ、ガイアナ、バルバドス、トリニダード・トバゴなど

製法

スコッチの製法を踏襲

 

スコッチをつくる手法で製造されており、単式蒸留器と連続式蒸留機でつくった原酒がブレンドされているのがイギリス系ラムです。

厚みのある力強い味わいが特徴で、特にジャマイカやガイアナでつくられるラム酒はその特徴が顕著に表れています。

生産地域によってはライトな口当たりで、スムースな飲みやすいタイプのイギリス系ラムもあります。

 

フランス系ラム

フランス系ラムの代表的な生産地域はマルティニークやグアドループで「Rhum」と表記されます。

種類

フランス系ラム

表記

Rhum

生産地域

マルティニーク、グアドループ、ハイチ、モーリシャス、レユニオンなど

製法

コニャックの製法を踏襲

 

フランス系ラムは、ブランデーの一種であるコニャックの技術が活かされており、「X.O」「V.S.O.P」といったコニャック同様の等級表記のある銘柄もあります。

熟成年数の異なる原酒をブレンドしてつくられる点も、コニャックの規定を踏襲しているといえるでしょう。

フランス系ラムにはアグリコールラムが多く、原料本来の風味が楽しめる豊かな香りが特徴です。

味わいはドライかつシャープに感じる銘柄が多く、フルボディからライトボディまで個性豊かなラム酒がそろっています。

 

スペイン系ラム

キューバやプエルトリコでつくられているのがスペイン系ラムで、ボトルには「Ron」と表記される場合があります。

種類

スペイン系ラム

表記

Ron

生産地域

キューバ、プエルトリコ、ドミニカ、グアテマラ、パナマ、ベネズエラなど

製法

シェリーの製法を踏襲

 

シェリーの熟成方法である「ソレラシステム」を用いる蒸留所が多くあり、スペイン系ラムの味わいは大きく2つに分けられます。

まず、キューバやドミニカといった「カリブ海域の島々でつくられるスペイン系ラム」はライトボディで、ストレートでも飲みやすい口当たりが特徴です。

一方、グアテマラやベネズエラといった「中南米大陸でつくられるスペイン系ラム」は、ソレラシステムによる重厚な風味と強い甘みを持っています。

同じスペイン系ラムでも、生産場所が「島」か「大陸」かで味わいの傾向が異なります。

 

ラム酒の種類【熟成・加工の違い】

ラム酒は熟成や加工の違いで、次の4種類に分けられます。

  • ホワイトラム
  • ゴールドラム
  • ダークラム
  • スパイスドラム

ホワイトラム

ホワイトラムは無色透明のスピリッツで、基本的には樽熟成をせずにステンレスタンクで寝かせてつくられるラム酒です。

ホワイトラムの生産量は非常に多く、ラム酒の一大産地であるカリブ海域の国々では、つくられるラム酒の9割がホワイトラムといわれています。

ホワイトラムの味わいは製法によって異なり、トラディショナル製法でつくられるとクリアでスムースな口当たりとなります。

フルーツやリキュールと合わせても味のバランスが取りやすいため、トラディショナル製法のホワイトラムはカクテルベースとしても人気です。

一方、アグリコールやハイテストモラセス製法でつくられたホワイトラムは原料の風味が強く、シャープかつ個性的な味わいが楽しめるでしょう。 

ホワイトラムについて詳しく知りたい方は、次の記事も参考にしてみてください。

ホワイトラムの魅力とは? ホワイトラムの飲み方・楽しみ方を解説 

 



ゴールドラム

ゴールドラムは琥珀色のラム酒で、2カ月から3年未満ほどの樽熟成を経ているラム酒を指します。

熟成に使う樽は、チャーリング(内側を焦がす処理)をしていないオーク樽、もしくはバーボンの熟成に使用された樽です。

ゴールドラムの特徴は、樽熟成による落ち着いたまろやかな風味が味わえると同時に、ホワイトラムのようなフレッシュさやフルーティーさも味わえる点です。

個性的なアグリコールラムも、ゴールドラムになると味わいに柔らかいニュアンスが生まれるため、ホワイトラムよりも飲みやすく感じるでしょう。

 

ダークラム

ダークラムは樽で3年以上の長期熟成を行うラム酒で、色合いはゴールドラムよりも深い琥珀色です。

一般的に使用される樽はバーボン熟成に使われた樽をチャーリングした樽で、バーボン樽のみならず、ブランデー樽やシェリー樽、新樽を使用するケースもあります。

ダークラムの味わいは熟成が長期であればあるほどまろやかになり、木の香りも強くなります。

濃縮された深い味わいとコクを楽しめるのが、ダークラムの魅力といえるでしょう。

 

スパイスドラム

スパイスドラムはフルーツやハーブ、スパイスなどを漬け込んでつくられており、もとはラム酒の味わいを飲みやすくして、さらに薬効成分を持たせる目的で生まれたラム酒です。

蒸留所から製品化されている銘柄では「キャプテンモルガン スパイスドラム」や「クラーケン ブラック スパイスドラム」等が有名ですね。

蒸留所が製造するこのようなスパイスドラムの他、ラム酒をつくっているカリブの島々では、自家製スパイスドラムを楽しむ習慣があります。

盛んにつくられている自家製のスパイスドラムは、街のBarや家庭で楽しまれています。

 

ラム酒の種類【風味の違い】

ラム酒は、風味の違いで次の3種類に分けられます。

  • ライトラム
  • ミディアムラム
  • ヘビーラム

ライトラム

ライトラムは軽やかな風味のラム酒のことで、色は無色透明、もしくは薄い琥珀色程度の色づきです。

一般的に連続式蒸留機で蒸留されているため口当たりはスムースで、飲みやすいのでカクテルベースとしても重宝されるラム酒です。

 

ミディアムラム

ミディアムラムはライトラムとヘビーラムの中間的な風味で、薄い琥珀色のラム酒です。

コクとフレッシュな香味を併せ持ったラム酒で、強い個性を持つ銘柄は少ないため、カクテルやお菓子作りに使用される場合もあります。

 

ヘビーラム

ヘビーラムは濃い琥珀色のフルボディのラム酒で、香り豊かな力強い風味が特徴です。

一般的な製法は単式蒸留器による蒸留で、原料の個性を残しつつ蒸留された原酒を樽に寝かせ、長期間熟成させます。

濃厚な味わいが楽しめるヘビーラムは、手間と時間を掛けてつくられる贅沢なラム酒です。

 

ラム酒の選び方

ラム酒の選び方を、用途やシチュエーション別に紹介します。

  • カクテルで飲む場合
  • ロックやストレートで飲む場合
  • 食中酒として飲む場合
  • 漬けラムや梅酒を作る場合
  • ラム酒をお菓子作りに使う場合

それぞれの用途に合った、お気に入りのラム酒を見つけてみてください。

 

カクテルで飲む場合

「マイタイ」のような複数の材料を使うカクテルの場合は、調和しやすいトラディッショナルラムを使うと良いでしょう。

一方、「ダイキリ」「ティポンシュ」といったシンプルなレシピのカクテルなら、トラディッショナルラムだけでなく、アグリコールラムやハイテストモラセスラムも個性が楽しめるのでおすすめです。

カクテルのレシピによって、使用する銘柄を変えてみるのも良いでしょう。

大抵の場合、カクテルはレシピで「ホワイトラム」「ダークラム」などと指定されているので、熟成させたラム酒を使うかどうかはレシピに沿って選んでみてください。

ラム酒のカクテルを詳しく知りたい方は「ラム酒のカクテル16選|おすすめのロング・ショートドリンクを紹介 」も参考にしてみてくださいね。

 

ロックやストレートで飲む場合

ロックやストレートで飲むなら、個性的な味わいが楽しめるアグリコールラムやハイテストモラセスラムがおすすめです。

甘い飲み口がお好みなら、コクの深いダークラムやゴールドラムが良いですね。

また、ウイスキーのロックやストレートがお好きなら、スコッチの製法を踏襲しているイギリス系ラムも試してみてください。

イギリス系ラムの中にはフルボディで力強い味わいの銘柄もあり、スコッチとの共通点が見出せます。

ブランデーがお好きなら、コニャックの製法を踏襲しているフランス系ラムが楽しめるでしょう。

原料が異なるため味わいは同じではありませんが、コニャックのようなドライで繊細な味わいが堪能できます。

ロックやストレート以外にも、ラム酒にはさまざまな飲み方があります。

詳しくは「ラム酒の飲み方15選|家でおいしく飲むポイントを紹介の記事を参考にしてみてください。

 

食中酒として飲む場合

ラム酒を食中酒で楽しむなら、ソーダ割りで飲むのがおすすめです。

爽快感たっぷりのラムソーダを作るなら、まずはホワイトラムを試してみてください。

ホワイトラムには優しい甘みがあり、ソーダで割るとさっぱりとした味わいが楽しめます。

レモンやライムを加えれば、ラム酒の甘みと柑橘の酸味が同時に味わえるスペシャルな食中酒が完成するでしょう。

イギリス系やスペイン系のホワイトラムを使えば、クセがなくお料理に合わせやすい味わいになります。

一方、フランス系のホワイトラムはフルーティーな香りが特徴的なので、料理の味をうまく引き立てる食中酒となるでしょう。

少し甘みのあるダークラムをソーダ割りにするのもおすすめで、コクと深みのある味わいはスイーツと好相性です。

ホワイトラムやダークラムを使い分けて、お気に入りの食中酒を見つけてみてください。

 

漬けラムや梅酒を作る場合

自家製の漬けラム(ラム・アランジェ)やラムの梅酒を楽しみたい場合は、好みを考えてラム酒を選びましょう。

フルーツの味を主役にした飲みやすい漬けラムを作りたい場合は、果実が引き立つホワイトラムがおすすめです。

トラディショナル製法のホワイトラムならクリアでさっぱりとした味わいに、アグリコールやハイテストモラセス製法のホワイトラムなら、ラム酒のフルーティーさが重なる味わい深い漬けラムになるでしょう。

コクと甘みの強い漬けラムを作りたい場合は、ダークラムやゴールドラムを選んでみてください。

ラム酒そのものが濃厚な味わいなので、複数のフルーツを漬けるのではなく1〜2種類に留めたほうが、バランスの取れた味わいになるでしょう。

漬けラムや梅酒の作り方、その他のフルーツとのペアリングについて詳しく知りたい方は「ラム酒とフルーツのペアリング|好相性の理由と4つの楽しみ方を参考にしてみてください。

 

ラム酒をお菓子作りに使う場合

ラム酒をカヌレやパウンドケーキなどのお菓子作りに使うなら、ダークラムがおすすめです。

お菓子の風味付けにラム酒を使うと華やかな香りが加わり、ラム酒由来の甘い風味としっとりした食感をが生まれます。

風味付けに使うなら、甘みの強いイギリス系やスペイン系のダークラムが向いているでしょう。
ラム酒を使ったお菓子のレシピを知りたい方は「ラム酒をお菓子作りに使うのはなぜ?相性の良い理由とレシピを紹介」も参考にしてみてください。

 

最後に

ラム酒にはさまざまな種類があり、製法や熟成の有無で味や香りが異なります。

生産地域によっても味わいは大きく異なり、それぞれの地域において、宗主国だった国のお酒文化を色濃く反映したラム酒づくりが行われています。

生産される地域ごとにラム酒は独自の発展を遂げており、それらを飲み比べてみるのも楽しいでしょう。

サトウキビが原料という共通点はあるものの、選ぶ種類によってラム酒の味わいは多種多様です。

ストレートで飲んだりカクテルにしたり、フルーツに漬けたりと楽しみ方もさまざま。

いろいろな飲み方で、多彩なラム酒を味わい尽くしてみてはいかがでしょうか。

 

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