コンテンツに進む
Report Rum Explorer's Quest
ラム酒の種類と選び方|製法・産地・熟成・風味別に違いを解説 by TRUCK Japanese Rum

ラム酒の種類と選び方|
製法・産地・熟成・風味別に違いを解説
by TRUCK Japanese Rum

執筆
浅野まむ ライター

TRUCK Japanese RumのWebライティングを担当。元バーテンダーで、認定資格「ウイスキーエキスパート」を所持。 スピリッツ全般の専門知識をもとに記事を執筆している。

監修
善利光雅 TRUCK Japanese Rum 代表

2023年にTRUCK Japanese Rumを設立。企画・原料選定から蒸留設計まで携わるプロデューサー。 和歌山県出身。

ラム酒には「ホワイトラム」「ヘビーラム」「アグリコール」など、さまざまな種類があります。バーや酒屋でラム酒を選ぶ際、違いが分からずに困ったことはないでしょうか。

ラム酒は製造方法や熟成の有無、生産地域によって特徴や味わいが大きく異なり、種類が豊富です。それぞれの違いを理解すれば、自分好みのラム酒を選びやすくなるでしょう。

この記事では、ラム酒の種類を「製法」「産地」「熟成」「風味」という4つのカテゴリーに分けて解説します。飲み方やお菓子作りといった用途別の選び方も紹介しますので、ラム酒選びの参考にしてみてください。

なお、ラム酒の基本情報(原料・歴史・名前の由来など)を知りたい方はラム酒とは?原料・製法・歴史から飲み方・おすすめ銘柄まで徹底解説もあわせてご覧ください。

 

PLUM62

ラム酒の種類と4つの分類

ラム酒は製法や生産地、熟成の有無といったさまざまな基準で分類でき、バリエーションが豊富です。ラム酒のルールは「サトウキビを原料にして蒸留する」ことで、その他の規定はないため各地域で独自の方法で製造されています。


製法が自由であるために多種多様なラム酒が生み出されており、そんなラム酒は次の4つの基準で分類できます。

  • 製法の違い
  • 産地(宗主国)の違い
  • 熟成・加工の違い
  • 風味の違い

これらの組み合わせによる豊富な種類の中から、好みや用途に合わせて最適な銘柄を選べるのもラム酒の魅力のひとつ。次章から詳しく解説していきます。

 

ラム酒|製法の違い

ラム酒は、原料であるサトウキビを処理する「製法の違い」で次の3つに分類できます。

  • トラディショナルラム
  • アグリコールラム
  • ハイテストモラセスラム

3種類のラム酒を詳しく解説していきましょう。

 

トラディショナルラム

トラディショナルラム(Traditional Rum)は、サトウキビの「糖蜜(モラセス)」のみを使用してつくられる伝統的な製法のラム酒です。「糖蜜」とはサトウキビを煮詰めて結晶化した部分を取り除いたもので、この結晶化した部分は砂糖になります。

つまり、サトウキビから砂糖を製造する際に廃棄される部分が糖蜜であり、トラディショナルラムは砂糖の副産物といえるでしょう。

糖蜜は冷蔵保存すれば風味を保てるため、トラディショナルラムはサトウキビが採れない地域でも生産可能です。大規模な工場で大量生産もできるため、別名インダストリアル(Industrial/工業・産業)ラムとも呼ばれ、世界中で生産されるラム酒の8〜9割はこのトラディショナルラムといわれています。

 

アグリコールラム

アグリコールラム(Agricole Rum)とは「農業的製法で製造されるラム酒」という意味で、工業的製法のトラディショナルラム(インダストリアルラム)とは対極にあります。アグリコールラムはサトウキビを100%使用してつくられるラム酒で、サトウキビから砂糖になる結晶部分も取り除かず、すべてをそのまま発酵・蒸留します。

本来砂糖となる成分も含めたすべてを原料にするため、アグリコールラムはサトウキビの味わいがそのまま活かされた味わいです。繊細かつ複雑な味わいで、トラディショナルラムと比較すると原料や生産する土地の個性が出やすいラム酒といえるでしょう。

100%のサトウキビジュースは保存がしにくいため、アグリコールラムはサトウキビが栽培されている地域において、収穫期にしか製造できません。製造地域と期間が限られており、アグリコールラムは贅沢なラム酒といえます。


ハイテストモラセスラム

ハイテストモラセスラム(High Test Molasses Rum)はサトウキビをそのまま絞ってジュースにし、加熱してシロップ状に濃縮させた高純度の糖蜜(ハイテストモラセス)を原料としたラム酒です。

加熱して固形化した黒糖からつくられるラム酒もここに分類され、比較的新しい製法なのがハイテストモラセスラムです。

サトウキビの搾り汁を濃縮して使用するので原料本来の風味が出やすく、トラディショナルラムとアグリコールラムの中間的な味わいといえるでしょう。濃縮させたシロップは風味を損なわずに保存できるため、サトウキビを生産していない土地でも製造可能であり、年間を通してつくられます。

 

ラム酒|産地(宗主国)の違い

ラム酒は、生産している地域が「どの国を宗主国としていたか」によって特徴が異なります。

宗主国とは特定の国に対して支配権を持つ国のことで、ラム酒の主な製造地域は植民地時代に「イギリス」「フランス」「スペイン」のいずれかの国を宗主国としていました。このヨーロッパの3国は、自国の伝統的な蒸留酒の製法をラム酒づくりに反映させ、植民地で独自のラム酒をつくり上げたのです。

宗主国別に、「イギリス系ラム」「フランス系ラム」「スペイン系ラム」の3種類のラム酒の特徴を解説していきます。

 

イギリス系ラム

イギリス系ラムはジャマイカやガイアナなどでつくられるラム酒で、多くの場合「Rum」と表記されます。

種類

イギリス系ラム

表記

Rum

生産地域

ジャマイカ、ガイアナ、バルバドス、トリニダード・トバゴなど

製法

スコッチの製法を踏襲

 

スコッチをつくる手法で製造されており、単式蒸留器と連続式蒸留機でつくった原酒がブレンドされているのがイギリス系ラムです。厚みのある力強い味わいが特徴で、特にジャマイカやガイアナでつくられるラム酒はその特徴が顕著に表れています。

生産地域によってはライトな口当たりで、スムースな飲みやすいタイプのイギリス系ラムもあります。

 

フランス系ラム

フランス系ラムの代表的な生産地域はマルティニークやグアドループで「Rhum」と表記されます。

種類

フランス系ラム

表記

Rhum

生産地域

マルティニーク、グアドループ、ハイチ、モーリシャス、レユニオン

製法

コニャックの製法を踏襲

 

フランス系ラムは、ブランデーの一種であるコニャックの技術が活かされており、「X.O」「V.S.O.P」といったコニャック同様の等級表記のある銘柄もあります。熟成年数の異なる原酒をブレンドしてつくられる点も、コニャックの規定を踏襲しているといえるでしょう。

フランス系ラムにはアグリコールラムが多く、原料本来の風味が楽しめる豊かな香りが特徴です。ドライかつシャープな味わいの銘柄が多く、フルボディからライトボディまで個性豊かなラム酒がそろっています。

 

スペイン系ラム

キューバやプエルトリコでつくられているのがスペイン系ラムで、ボトルには「Ron」と表記される場合があります。

種類

スペイン系ラム

表記

Ron

生産地域

キューバ、プエルトリコ、ドミニカ、グアテマラ、パナマ、ベネズエラなど

製法

シェリーの製法を踏襲

 

シェリーの熟成方法である「ソレラシステム」を用いる蒸留所が多くあり、スペイン系ラムの味わいは大きく2つに分けられます。

まず、キューバやドミニカといった「カリブ海域の島々でつくられるスペイン系ラム」はライトボディで、ストレートでも飲みやすい口当たりが特徴です。一方、グアテマラやベネズエラといった「中南米大陸でつくられるスペイン系ラム」は、ソレラシステムによる重厚な風味と強い甘みを持っています。

同じスペイン系ラムでも、生産場所が島か大陸かで味わいの傾向が異なります。

 

ラム酒|熟成・加工の違い

ラム酒は熟成や加工の違いで次の4種類に分けられます。

  • ホワイトラム
  • ゴールドラム
  • ダークラム
  • スパイスドラム


ホワイトラム

ホワイトラムは無色透明のスピリッツで、基本的にステンレスタンクに寝かせてつくられるラム酒です。生産量は他の種類よりも多く、ラム酒の一大産地であるカリブ海域の国々では、つくられるラム酒の9割がホワイトラムといわれています。

ホワイトラムの味わいは製法によって異なり、トラディショナル製法でつくられるとクリアでスムースな口当たりとなります。フルーツやリキュールと合わせても味のバランスが良く、トラディショナル製法のホワイトラムはカクテルベースとして人気です。

一方、アグリコールやハイテストモラセス製法でつくられたホワイトラムは原料の風味が強く、シャープかつ個性的な味わいが楽しめます。

ホワイトラムについて詳しく知りたい方は、ホワイトラムとは? ホワイトラムの飲み方・楽しみ方を解説 by TRUCK Japanese Rumも参考にしてみてください。

 

PLUM62



ゴールドラム

ゴールドラムは、2カ月から3年未満程度の樽熟成を経た琥珀色のラム酒です。熟成に使う樽は、チャーリング(内側を焦がす処理)をしていないオーク樽、もしくはバーボンの熟成に使用された樽です。

ゴールドラムの特徴は、樽熟成による落ち着いたまろやかな風味が味わえると同時に、ホワイトラムのようなフレッシュさやフルーティーさも味わえる点です。個性的なアグリコールラムもゴールドラムになると柔らかいニュアンスが生まれるため、ホワイトラムよりも飲みやすく感じるでしょう。

 

ダークラム

ダークラムは樽で3年以上の長期熟成を行うラム酒で、色合いはゴールドラムよりも深い琥珀色です。一般的に使用される樽はバーボン熟成に使われた樽で、他にもブランデー樽やシェリー樽、新樽を使用するケースもあります。

熟成が長期であるほど味わいはまろやかになり、木の香りも強くなります。濃縮された深い味わいとコクを楽しめるのが、ダークラムの魅力といえるでしょう。

 

スパイスドラム

スパイスドラムはフルーツやハーブ、スパイスなどを漬け込んでつくられたラム酒です。味わいを飲みやすくし、さらに薬効成分を持たせる目的で生まれました。銘柄でいえば「キャプテンモルガン スパイスドラム」や「クラーケン ブラック スパイスドラム」等が有名です。

市販のスパイスドラムとは異なり、ラム酒をつくるカリブの島々では、自家製スパイスドラムを楽しむ習慣があります。盛んにつくられているスパイスドラムは、街のBarや家庭で楽しまれています。

 

ラム酒|風味の違い

ラム酒は、風味の違いで次の3種類に分けられます。

  • ライトラム
  • ミディアムラム
  • ヘビーラム


ライトラム

ライトラムは軽やかな風味のラム酒のことで、色は無色透明、もしくは薄い琥珀色程度の色づきです。一般的に連続式蒸留機で蒸留されており、口当たりはスムース。飲みやすく、カクテルベースとしても重宝されるラム酒です。

 

ミディアムラム

ミディアムラムはライトラムとヘビーラムの中間的な風味で、薄い琥珀色のラム酒です。コクとフレッシュな香味を併せ持ったラム酒で、強い個性を持つ銘柄は少ないため、カクテルやお菓子作りに使用される場合もあります。

 

ヘビーラム

ヘビーラムは濃い琥珀色のフルボディのラム酒で、豊かな香りと力強い風味が特徴です。単式蒸留器によって原料の個性を残しつつ蒸留されるのが一般的で、蒸留後は原酒を樽に貯蔵し長期間熟成させます。

手間と時間を掛けてつくられる贅沢なラム酒で、濃厚な味わいが楽しめるラム酒です。

 

ラム酒の用途別の選び方

ここからは、用途別におすすめのラム酒を紹介します。シチュエーションに合わせてラム酒を選んでみてください。

  • ロック・ストレート
  • カクテル
  • 食中酒
  • 漬けラムや梅酒作り
  • お菓子作り

 

ロック・ストレートにおすすめのラム酒

オン・ザ・ロックやストレートで飲むなら、個性的な味わいが楽しめるアグリコールラムやハイテストモラセスラムがおすすめです。甘い飲み口がお好みなら、コクの深いダークラムやゴールドラムを試してみてください。

ウイスキーのロックやストレートがお好きなら、スコッチの製法を踏襲しているイギリス系ラムもぜひ試してみてください。イギリス系ラムのフルボディで力強い味わいの銘柄なら、スコッチとの共通点が見出せます。

ブランデーがお好きなら、コニャックの製法を踏襲しているフランス系ラムが楽しめるでしょう。原料がサトウキビなので味わいは異なりますが、コニャックのようなドライで繊細な味わいが堪能できます。

なお、ラム酒にはロックやストレート以外にもさまざまな飲み方があります。詳しくはラム酒の飲み方15選|家でおいしく飲むポイントを紹介 by TRUCK Japanese Rumを参考にしてみてください。

 

カクテルにおすすめのラム酒

「マイタイ」のような複数の材料を使うトロピカルなカクテルの場合は、調和しやすいトラディショナルラムを使うと良いでしょう。

一方、「ダイキリ」「モヒート」といったシンプルな定番カクテルなら、トラディショナルラムだけでなく、アグリコールラムやハイテストモラセスラムも個性が楽しめるのでおすすめです。カクテルのレシピによって、使用する銘柄を変えてみるのも良いでしょう。。

カクテルはレシピで「ホワイトラム」「ダークラム」などと指定されているので、熟成させたラム酒を使うかどうかはレシピに沿って選んでみてください。ラムカクテルを詳しく知りたい方はラム酒のカクテル16選|おすすめのロング・ショートドリンクを紹介 by TRUCK Japanese Rum」も参考にしてみてください。

 

食中酒におすすめのラム酒

食中酒には、ホワイトラムのソーダ割りがおすすめです。ホワイトラムの優しい甘みと炭酸の爽快感が、料理を引き立ててくれます。レモンやライムを加えれば、ラム酒の自然な甘みと柑橘の酸味が同時に味わえるスペシャルな一杯が完成します。

イギリス系やスペイン系のホワイトラムはクセがなく、どんな料理にも合わせやすいのが特徴です。一方、フランス系のホワイトラムはフルーティーな香りで、料理の味をうまく引き立ててくれます。

少し甘みのあるダークラムをソーダ割りにするのもおすすめで、コクと深みのある味わいはスイーツと好相性です。ホワイトラムやダークラムを使い分けて、お気に入りの組み合わせを見つけてみてください。

 

漬けラムや梅酒作りにおすすめのラム酒

自宅で漬けラム(ラム・アランジェ)や梅酒を作る場合、フルーツを主役にしたいならホワイトラム、コクと甘みを重視するならダークラムやゴールドラムがおすすめです。

ホワイトラムはクセが少なく、フルーツ本来の香りや味わいを引き立てます。トラディショナル製法のホワイトラムを使えば、クリアでさっぱりとした飲みやすい漬けラムに仕上がるでしょう。一方、アグリコールやハイテストモラセス製法のホワイトラムはフルーティーな香りが強いため、果実の風味と重なり合って奥行きのある味わいが楽しめます。

ダークラムやゴールドラムで作る漬けラムは、ラム酒由来の濃厚な甘みとコクが特徴です。ラム酒そのものの味わいが強く複数のフルーツを漬け込むと味が複雑になるため、フルーツは1〜2種類に留めてみてください。ラム酒とフルーツのバランスが取れた深みのある漬けラムに仕上がります。

漬けラムや梅酒の作り方を詳しく知りたい方はラム酒とフルーツを楽しもう|ラム酒漬けの作り方・カクテルを紹介を参考にしてみてください。

 

お菓子作りにおすすめのラム酒

ダークラムは樽熟成による芳醇な香りと濃厚な甘みが特徴で、焼き菓子に加えると華やかな風味が生まれます。ラム酒の香りがお菓子に移り、しっとりとした食感と深いコクを与えてくれます。

特にイギリス系やスペイン系のダークラムは甘みが強く、お菓子に最適です。バニラやキャラメル香のある銘柄なら、チョコレートケーキやティラミス、ラムレーズンを使ったお菓子が洗練された味わいに仕上がります。

ラム酒を使ったお菓子のレシピを知りたい方はラム酒を使ったお菓子のレシピ12選|簡単・人気のレシピと製菓用ラム酒を紹介も参考にしてみてください。

 

最後に

ラム酒には製法や産地、熟成の有無によってさまざまな種類があり、それぞれ異なる味わいと香りを持っています。産地ごとに独自の発展を遂げたラム酒は、かつての宗主国の文化を色濃く反映しており、飲み比べてみるとその違いがよく分かります。

サトウキビが原料という共通点はあるものの、選ぶ種類によって味わいは多種多様です。ストレートやカクテル、フルーツ漬けやお菓子作りなど、楽しみ方もさまざま。いろいろな飲み方で、多彩なラム酒を味わい尽くしてみてください。